体外診断薬製造のための生体高分子の取得に
自動タンパク精製システム Biotage MEA2 を導入、
業務の効率化を実現!

微量精製がしたい、そんなときは Biotage MEA2 が最適解

株式会社医学生物学研究所(MBL)
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株式会社医学生物学研究所 抗原抗体開発ユニットでは主に体外診断薬の製造に取り組んでおられます。特にその原料となる抗体、タンパク質、生体分子などの取得を目的とし種々の装置を使用されています。今回、その一つとして自動タンパク質精製システム MEA2 を導入されておられる栗田様にお話を伺いました。

― この度はユーザーインタビューを御承諾いただきありがとうございます。実はバイオ分野では第一号のインタビューとなります。改めまして現在行われているご研究内容に関しましてお話を伺えますでしょうか。

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栗田さん :
我々の部署は体外診断薬の原料となる抗体やタンパク質を調製しています。
抗体はマウスやラットなどの動物から細胞を採取、加工し目的の抗体を産生できる状態にして培養して入手します。タンパク質は生体試料または遺伝子を組み込んだ大腸菌や動物細胞から抽出します。このように遺伝子の組み込み、決定から培養、精製まで行い、その後簡単な評価まで行います。詳細な評価は他部署で行っているので、この部署ではあくまで原料の開発に注力しています。

― なるほど、しっかりと分かれているのですね。診断薬という言葉は最近よく聞くのですが、製造においてのポイントなどはありますか?

栗田さん :
体外診断薬は通常は3~5年と時間をかけて開発されます。そのうち原料の開発は一番最初のフェーズですし、原料が悪いと良い診断薬ができないので、安定した良い品質のものを作らなければいけません。現在は新型コロナ関連に関して短期的には注力していますが、やはり原料の品質が大切ですね。

― やはり新型コロナ関連は特別ですか?

栗田さん :
新型コロナの診断薬といってもPCRだけでなくELISAやイムノクロマトなど様々な方法がありますし、測定する対象もウイルス自体を測定する抗原検査キットやワクチンの効果を確認するための抗体測定キットなど多岐にわたります。一般的な疾患の場合は間違いの無いよう慎重に時間をかけて進めますが、新型コロナは今すぐに必要ですので特別といっていいと思います。弊社からも2020年4月ごろにPCRキットを発売していますし、2021年9月には自動機でのワクチン効果判定用の抗体検査キットを上市予定です。

◆診断薬の研究は、微量精製が早くできることが重要。

― やはりスピードが大事な研究なのですね。MEA2導入前はどういった装置を使って業務を進めておられましたか?

株式会社医学生物学研究所(MBL)栗田さん :
これまでタンパク質の精製にはGE社のAKTAのようなLCやオープンカラムを使用していました。
これは一般的に用いられている方法ですが、我々にとっては微量精製が課題と感じていました。先ほどお話ししましたようにスクリーニング的な仕事も多く、検討段階では精製量は少量で賄えます。微量でもよいので自動化ができればより効果的だなと考えていた時、バイオタージが出展していた JASIS で MEA2 を見つけてこれは!と思ったのがきっかけです。

― JASISで見つけていただいたというコメント、ありがとうございます。Bio分野での初展示だったので出展した甲斐がありました。そういった中で MEA2 を導入していただいた決め手は何でしょうか。

栗田さん :
自動化という面では他社のリキッドハンドラーなどもあるのですが、我々はよく使用される96wellのプレートすべてを使うほど数はこなさないのでオーバースペックかなと思っていました。MEA2の一回当たりの処理数12というのがイメージに合いました。
展示会場で説明していただき、まずはマニュアルのMEピペットでPhyTipの有用性を確認してから自動化に進むことにしました。
簡単に検討できるところもよかったです。

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チップカラム PhyTiP®

PhyNexus PhyTip® カラムは独自のDual Flow Chromatography を用い、大きく3つの特徴を持ちます。

  1. 高濃度溶出(少ない充填剤)
  2. 高い再現性(容易な操作)
  3. 自動化に最適 (豊富なカスタムチップ)

https://www.biotage.co.jp/products_top
/biomoleculepurification/phynexus_phytip/

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    MEピペット

◆まず手動のMEピペットで精製効果を確認出来るのもいい。
特徴であるチップカラム(PhyTip)の検討できるのもGood!

― そうですね、我々の主力であるチップカラム PhyTip を使っていただくのに、まずは手動のピペットで確認、その後そのピペットを使用した自動化装置MEA2へ移行してもらえるのも大きなメリットと思っています。実際に検証していただいていかがでしたか?

栗田さん :
ME ピペットは他にも使用用途があると思いましたので、購入させていただき ProA 用のレジンが詰まったPhyTipで試しました。結果は満足のいくものだったので、さっそく自動化装置MEA2のデモをお願いしました。

◆MEA2での自動精製は放置できることが魅力。

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     MEピペット+PhyTip

― MEA2の使用感はいかがでしたか?

栗田さん :
やはり“ほっとける”というのが良かったです。結果は事前にMEピペットで行ったものと遜色ないですし、自動化できたという実感がありました。PhyTip を使用して微量精製が達成できて濃度も濃いものが得られました。目的物によっては多種のサンプルをたくさん培養して、カラムをいっぱい並べて精製して必要量を確保することもあったのですが、これを回避できる目途が立ちました。
速さもトータルでは満足しています。20 サンプルの精製とすると、これまで2日かかっていたのが、実働2時間ほどで終了と、すごく効率的になりました。空き時間を別の業務に充てることができています。

株式会社医学生物学研究所(MBL)株式会社医学生物学研究所(MBL)

― トータルフローの効率化は我々も期待しているところです。実際のご意見としていただけてありがたいです。一方で使ってみて気になるところなどはありますか?

栗田さん :
目的物にもよるのですが、数%程度は精製がうまくいかない場合があります。オープンカラムなどでは条件の最適化が終わっており技術として確立しているので、MEA2 でもこれからバッファーなど精製条件を詰めていけば改善できると考えています。大きさも問題ありませんが、駆動音は少し大きいかなと感じます。価格面でも効率化を考えれば十分妥当なものだと思います。

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― 参考になります。ちなみにMEA2導入後、研究室の方の感想はいかがでしたか?

栗田さん :
他の研究員も楽になったと言ってます。(笑)

― チップカラム PhyTip に関してはいかがですか?

栗田さん :
レジンの種類も多くボリュームも選べるのでいいと思います。
でも正直言いますと消耗品と考えると少し高いかなと思います。ただし先ほどお話ししたようにトータルコストで考えると効率化による時短などによる効果が大きく、全体としては気になりません。

― その他ご要望などありますでしょうか。

栗田さん :
PhyTipの保存がグリセロール液なのですが、ちょっとベタベタするので、改善してもらえればと。あと MEA2 でプラスミド精製にもトライしているのですが、少しスケールが小さいので Midi prep に対応できるとうれしいですね。溶出濃度も求めている濃度よりも少し薄いので、今後改善されるとうれしいポイントです。

― PhyTipに関しては貴重なご意見ありがとうございます。プラスミド精製に関しましてはスケールアップであれば PhyPrep というプラスミド自動精製装置も発売になりましたので、ぜひご紹介させていただきたいと思います。

栗田さん :
総じて MEA2 は検討に向いていますね。スケールアップした精製は AKTA などを使うなど併用することでお互い補完できるのではないでしょうか。ソフトに関してはもう少し使いやすい方がいいですが、慣れれば大丈夫なレベルだと思います。ここはバイオタージさんのサポートがしっかりしているので大丈夫ですよね? 今後は MEA2 の条件を検討してルーチン化し処理数を上げていきたいと考えています。

― ご期待に沿えるように頑張ります。本日はお忙しい中、お時間をいただきましてありがとうございました。

インタビュー実施:2021年8月
PDFファイルダウンロード(1.2MB)

導入製品

タンパク精製用 自動精製システム
【Biotage MEA2】

URL:
https://www.biotage.co.jp/products_top/biomolecule-purification/biotage-mea2-personal-purification-system/

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Biotage MEA2 personal purification system は、独自の Dual Flow Chromatography を用いるタンパク精製に最適な全自動精製システムです。専用ソフトウェアで吸引、吐出の液量やスピード、繰り返しのサイクル数などのプログラムが可能で、簡単に素早くサンプルの高濃度精製が可能です。Biotage PhyTip と組み合わせることで、ボタンを押すだけで数十分で精製が終了します。低温室での使用も可能で不安定なたんぱくの精製にも対応しています。

利用機関

株式会社医学生物学研究所 (MBL)

URL: https://www.mbl.co.jp/
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JSRライフサイエンスグループの株式会社医学生物学研究所は、日本初の抗体メーカーとして1969年に設立され、現在では自己免疫疾患検査薬をはじめ、遺伝子検査試薬、コンパニオン診断薬の分野にもユニークな製品を上市している診断薬メーカーです。「革新的な診断技術で、人々の健康と医療の発展に貢献する」という企業理念のもと、先端診断分野でグローバルニッチトップ企業として価値を創出する挑戦を続けていきます。