核酸医薬原薬製造に向けた
オリゴヌクレオチドの合成を効率化。
高純度・高品質オリゴヌクレオチドの
グラムスケール生産に Isolera LS をフル活用中

大量精製用フラッシュ自動精製装置 Isolera LS を導入

株式会社 四国核酸化学
株式会社 四国核酸化学

株式会社 四国核酸化学では、核酸医薬の開発研究にバイオタージのフラッシュ精製装置IsoleraおよびIsolera LSをご活用いただいております。今回は同社の片岡正典取締役、神戸ラボの兵藤守研究員、百相義大研究員にお話をうかがいました。

― まず、御社の事業概要について教えてください。

株式会社 四国核酸化学片岡先生:
弊社では、核酸医薬の本体であるオリゴヌクレオチドを大量製造するために、合成方法を研究、開発しています。
アカデミアでの研究から発生した知財にもとに「四国核酸化学」を設立し、実際に国内外の製薬企業様から医薬原薬候補の製造委託を受け、製造プロセス研究をしています。
製造原料として複数のヌクレオシドを、リン酸を介して連結させたセグメントを予め合成し、製造に使用する独自の合成法で事業を行っているのですが、私たちの使う分量だけではなく、製薬企業様や核酸医薬原薬製造企業様にも使って頂けるようにセグメントの分子構造の改良等も行っています。

◆自らが研究開発した製法で起業へ

― 核酸医薬というものですが、これはどのような特長があるのでしょうか?

株式会社 四国核酸化学片岡先生:
核酸医薬は難病治療に期待される、次世代のバイオ医薬として注目されているものです。世界的に研究が進められる分野ですが、今のところ大手2社が原薬製造のシェアを占有している状況です。

― なるほど。では御社の核酸医薬研究・会社設立経緯をもう少し詳しく教えてください。

片岡先生:
私が前々職の「自然科学研究機構 統合バイオサイエンスセンター」(愛知県岡崎市)で、オリゴヌクレオチドの新規合成法を着想しました。その後、前職で現在弊社の社長である安田に出会いました。
この研究はすぐにJSTのA-STEPという研究開発事業に採択され(後にAMEDに移管される)、技術を高めてプロジェクトの期間中に起業しました。
プロジェクト期間中には、研究を高める一方で、事業担当者である志田氏(AMED)や現東京大学の喜多山博士、安田からベンチャーが目指すゴールとビジネスモデルについて多くの意見をいただき起業準備を進めました。起業後も安田にはそのまま代表取締役として弊社に参画してもらっています。

株式会社 四国核酸化学― 御社の研究の特長は、どのようなところですか?

片岡先生:
まず、一番は製造工程を大きく短縮していることです。それを実現するために原料やセグメントの構造はオリジナルなものとなっています。

鎖長伸長に用いる縮合反応もかなり工夫し、それによって、コスト・エナジーパフォーマンスの改善に成功しています。
また、セグメントを原料として採用することで、精製負荷の低い粗生成物が得られ、合成品の純度と収量の向上が両立する点も特長です。

弊社は「液相法」で独自の製造方法を開発しているのですが、他社のほとんどが採用している「固相法」でも使用できるようセグメントを使った製造方法を広めていきたいと考えています。

― なるほど。あらゆる部分で独自の方法を取り入れておられるのですね。「製品の高純度」という点で、Isolera導入に繋がったのでしょうか?

片岡先生:
そうですね。特に、ある程度の長さまでは順相のクロマトグラフィーで精製をおこないたいので、その意味でも高いパフォーマンスの精製設備が必要です。

― Isoleraを導入する前は、どのような精製方法だったのでしょうか?

片岡先生:
他社の中圧クロマトグラフ装置を使っていました。

◆Isolera LSなら大量精製作業が改善できると直感

― では弊社の装置を知ったきっかけと、Isoleraに切り替えたようと思った理由を教えてもらえますか。

片岡先生:
きっかけは、営業の方が持ってこられたチラシを見て興味を持ったことですね(笑)。 その後、すぐにデモ機を用意してくれたり、サンプルカラムを準備してくれたり、そこのスピードが格段に早かった、という点が大きいです。
研究テーマの実用化に向けて精製装置を見た場合、御社の装置は、まず流速のリミットが大きいことと、それにフィットする大きなサイズの精製用カラムがラインナップされていたことが魅力的でした。
もうひとつは、検出器としてPDAが採用されている点も大きかったです。精製後あるいは精製中の吸光スペクトルの変化から結果が予測でき、精製が容易になり、パフォーマンスの改善につながるだろうと直感的に思いましたね。

― Isolera LSはラージスケール装置ですが、最初にこちらに目に留まった理由は?

片岡先生:
理由はやっぱりスケール。340gのカラム容量と500mL/minの流速です。ベンチトップに設置できる大スケール向け自動精製装置として唯一無二でした。バイパス精製のことも最初に説明頂いて、非常に製造向きの装置だと感じました。現在は1000mLのトールビーカーを使って分画しています。Isolera LS導入後は、MSトリガーにも興味を持っています。

◆無線LANの活用etc…使いやすいIsoleraの便利機能

― Isolera LSを実際導入して使ってみて、これまでの装置に優っていると思われた点などはございましたか?

兵藤研究員:
そうですね、精製途中でも吸収スペクトルのプロファイルが見えるので、見えているピークが核酸かどうか確認することができて、便利で効率が良いと思います。

片岡先生:
あと、有線LAN・無線LANを使って別の部屋からコントロールや確認ができる点も重宝しています。レポートを書き出して電子ノートに貼ることも簡単で、非常に効率的な機能だと思います。

兵藤研究員:
他社の製品にくらべて、カラムに大量のサンプルが乗せられますね。推奨量も多いので便利だと思います。

株式会社 四国核酸化学片岡先生:
そうですね。カラムの形状もサンプルロードしやすくできていると感じます。
当初タッチパネルが有機溶媒に侵されるのが心配でしたが、ほとんどの有機溶媒に対して耐性があるようで、装置も汚れないので安心しました。

兵藤研究員:
専用のカラムホルダーがサイズごとにあるので大きなカラムもセットしやすいし、流速が速くて、やはり精製しやすい印象です。

― なるほど。純正カラムとセットでお使い頂いて、良い点、またご不満な点などについてお聞かせいただけますか?

株式会社 四国核酸化学片岡先生:
良かった点としては、カラムの情報がプリセットされているということですね。そうではない製品もあるので。あとはカラムの溶媒置換がしやすいように感じます。吸着が強いので、しっかり分離できます。
逆に不満というと、極性の高いサンプルを使った時に、吸着力があだになって…、非特異吸着をした成分が後から溶出されてきて、本来あとから溶出されてくるはずの成分と一緒に溶出されてくることがあります。
サンプルによりますが、酸に弱いものを精製する時にちょっと苦労します。

― なるほど。

片岡先生:
ですので、精製カラムのラインナップをもう少し増やして欲しいということですね(笑)。

― 貴重なご意見ありがとうございます。
次の質問ですが、ラージスケールのIsolera LSを導入頂き、さらに普通サイズのIsoleraを追加購入して頂けた決め手は何だったのでしょうか?

片岡先生:
まずはやはり研究員の評価が高かった点ですね。評価が高いというのは、やはり使いやすさ、カラムとの相性が良いこと、webブラウザから情報を得たり与えたりすることができる等に集約されているのかな、と思います。

◆研究員の評価が高いIsolera。標準機も導入して一層効率化。

― 実際に、研究員の方の評価が高いこと、プラス何か他に大きな選定ポイントはございましたか?

片岡先生:
「今後、追加する装置は何か?」と考えたときに、部品や消耗品の共通性を上げたいと思い、それに一番向いているメーカーを検討しました。そして、大きな物から小さなものまで柔軟に対応できるという点で、バイオタージさんという結論に達しました。

株式会社 四国核酸化学― 確かに消耗品の保管スペースなどもポイントですね。ありがとうございます。
2種類のIsoleraをお使い頂いていますが、業務時間的にコストダウンしたとか他の仕事をする時間が増えたとか、目に見えるような成果はありましたか?

片岡先生:
安全面ではやはり先ほども言ったようにwebブラウザからクロマトグラムや装置の状態が見られるというのが良いと思います。溶媒の暴露とか考えると特に。
それから、意外とカラムホルダーが使いやすかったです!(笑)。

兵藤研究員:
あと、溶媒の残量をカウントしてくれるので、残量ゼロの状態なのに液を流しっぱなしで、エアーを噛んで大失敗、というようなことはなくなりましたね。

片岡先生:
しかし「遠隔操作機能」っていうのは本当に面白いですね。
昨日も私がオフィスで研究員が実行中の装置をモニタリングしていて「これおかしいんじゃないか?」とラボに行ってみたら、こちらの研究員たちも全く同じところを指して「ここ、おかしい!」って話しあっている最中でした。(笑)

◆高極性向け製品にもさらなる期待

― 無線が使えない研究室もありますが、使える研究室では非常に効果的な面白い使い方をして頂いています。国内メーカーではなかなか少ない機能の1つですので、どんどん活用して頂きたいと思います。
では今後、弊社の装置全般に対して期待するところ、ご意見ご要望など忌憚のないコメントをお願いいたします。

兵藤研究員:
私たちは高極性のものを扱うことが多いので、そういう条件で分けやすいシステムがあるとありがたいですね。

片岡先生:
そうですね。逆相精製に向けて、もう少しポンプ性能が高いものがあったらいいかと思います。耐圧は結構あるので、ポンプ性能の方を。合成が進むとグラジエントが結構重要になって、精製がシビアなものが増えてくるんですよ。

百相研究員:
あとカラムの種類でDiolのようなHILIC的なものとか。中性の充填剤の種類がもう少しあると選択性が広がりますね。

片岡先生:
私はLSで、MSトリガーができると嬉しいですね(笑)。検討段階から大きなスケールで実施することが増えてきているので。

― 数多くのご意見ご提案ありがとうございます(笑)。では最後に、今後のプランなどがございましたらお聞かせ下さい。

片岡先生:
今後ですが、社長の安田が、もう少し装置を追加したほうが良いのではないかという意見なので、この後控えているプロダクションスケールの場でも生かしたいと思っています。その前に、LSをもう一台追加することが決まりました!

― 非常に光栄です。また改めてご案内させていただきますね。
本日頂きました貴重なご意見は今後の製品開発に反映したいと思います。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

インタビュー実施:2017年10月
PDFファイルダウンロード(1.8MB)

導入製品

大容量フラッシュ精製装置
Isolera LS

URL:
https://www.biotage.co.jp/products_top/flash-purification/isolera_ls/

 

フラッシュ精製装置
Isolera

URL:
https://www.biotage.co.jp/products_top/flash-purification/isolera_top/

導入機関

株式会社四国核酸化学

URL: http://www.shikoku-nc.co.jp/

株式会社四国核酸化学は、香川県高松市に本社を置き、2016年2月からは兵庫県神戸市ポートアイランドの医療産業クラスター地区にも研究拠点を開設しました。2018年2月には同地区に製造拠点も開設しました。
核酸医薬はDNAやRNAを構成するオリゴヌクレオチドを用いた医薬品で、遺伝情報から創薬開発が直結する唯一の治療薬です。抗体医薬に次ぐ新たな医薬品として注目されています。
独自開発した「セグメント縮合液相合成法」を用いて、核酸関連化合物に特化した合成技術を進化させながら、世界の核酸医薬の高品質・低コスト製造を目指して研究開発を進めております。
設立:2015年10月2日
所在地:香川県高松