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HOME > ユーザーレポート > 広島大学大学院工学研究科 応用化学専攻 反応設計化学研究室 - ユーザーインタビュー

Biotage User Report

ユーザーレポート「広島大学大学院工学研究科応用化学専攻 反応設計化学研究室」

使いやすくて超パワフル!
大幅時間短縮で研究量&作業効率もアップ

半導体ポリマー研究と反応開発研究…異なる研究分野でも威力発揮

広島大学大学院工学研究科応用化学専攻 反応設計化学研究室

広島大学大学院工学研究科応用化学専攻 反応設計化学研究室

広島大学大学院工学研究科応用化学専攻(反応設計化学研究室)では、高分子材料の開発研究および有機合成化学反応研究でバイオタージのマイクロウェーブ合成装置Initiator8およびInitiator+8の2台をご活用いただいております。今回は同研究室の尾坂格教授、吉田拡人准教授にお話をうかがいました。

― では最初に、先生方のご研究内容についてご説明いただけますか。

尾坂先生 : 私の研究は、ひとことで言うと、新しい半導体ポリマー…つまり半導体の特性を持っている高分子材料の開発と、それを薄膜デバイス…特に有機薄膜太陽電池に応用する、というものです。ポリマー(高分子材料)を合成するということがポイントですが、その時のキーとなるのがクロスカップリング反応ですね。反応そのものについては吉田先生が研究されている分野となります。
私は、有機薄膜太陽電池の性能向上に向けて、新しい半導体ポリマー材料を開発しています。いい太陽電池性能を得るためには、ポリマーの物性や集合状態を制御しなければなりませんが、そのためにはポリマーの化学構造をうまく設計する必要があります。化学構造を決めたら、どのようにして合成するかを考え、様々な反応を使ってポリマーを合成しています。

吉田先生 : 私の方は有機合成化学で、その有機合成化学における新しい反応や、新しい反応剤を開発して、有用な分子をどれだけ効率よく、どれだけ短工程で作るかという、手法の開発を主に研究しています。

― なるほど。お二人のご研究テーマは異なるのですね。では先生方のご研究の中で、マイクロウェーブを使用されるきっかけはどのようなことだったのでしょうか?

尾坂先生 : 私の場合は、半導体ポリマー研究をしている知人がヨーロッパ(=インペリアル・カレッジ:イギリス)に居り、彼はかなり前からマイクロウェーブを使った重合をやっていました。
私が、どうしても使いたいと思って装置を導入したのは2010年頃でしたが、当時まだ日本にはマイクロウェーブを使って半導体ポリマーを合成する研究者はほとんど居ませんでした。そこで私は彼に聞いてみると「自分はバイオタージの装置を使っているから、これが良いのでは?」と教えてくれたので、早速私もデモしました。
もちろん他社製品も検討しましたが、ちょっと対応が遅かったのです。ですがバイオタージさんはすぐに来ていただけたので…(笑)。
それに知人の紹介でもあり、やはり間違いないのかなと思いましたね。

尾坂先生持参の装置に衝撃‼ 操作も容器も簡単なのに超パワフルなInitiator…私も絶対欲しい!(吉田先生)

― ありがとうございます。吉田先生のきっかけはどういったものでしょうか?

広島大学大学院工学研究科応用化学専攻 反応設計化学研究室

吉田先生 : マイクロウェーブを使った合成反応自体は、比較的昔から論文等で見ていたので知っていましたが、実際自分で使うまでは、単に「加熱反応の時間短縮装置」という程度の認識でした。
そして、2016年に尾坂先生が理研からバイオタージさんのマイクロウェーブInitiatorを持って広島大に着任されました。ある時どうしても加熱反応が上手くいかなくて、尾坂先生の装置をお借りすることにしました。
まぁ、加熱に伴う加圧がどれだけ加熱反応容器でできるのか? という問題はありますが、加熱はシリコンオイルバスだとせいぜい200℃までしか行きません。使用する溶媒の沸点を超えるとどうしても加圧条件となるので、それなりのガラス器具がないと無理ですが、マイクロウェーブなら簡単な手軽な容器で250℃~300℃まで可能だというので、試しに使わせてもらったわけです。

自分で実際に使ってみて、「この装置はなんとすごい威力なんだ!」って驚きましたね。
手軽な容器だし、短時間で加熱反応とは違う収率でできると知って、オートクレーブの代わりにもなりそうだと実感しました。
ですので、これは私も絶対に欲しいと思い…、今回の購入につながりました(笑)。

半導体ポリマー研究に欠かせないクロスカップリング反応も大幅時間短縮(尾坂先生)

― 大変光栄に存じます。実際、日々の研究で使ってみて、導入前と比べて良くなったと感じる点などはございますか?

尾坂先生 : はい、私は通常、ポリマー材料を合成するためにクロスカップリング反応を行いますが、これをフラスコで反応させるとなると、丸1日から2日間と長時間かけて加熱・撹拌しないといけないのです。非常に時間がかかる作業ですが、マイクロウェーブの反応装置(=Initiator)を 使うと、最短で数十分、長くても1~ 2時間という短時間で反応できるようになりましたね。これは大変ありがたいです。重合条件を検討しやす くなりました。それに、分子量の大きいポリマーを合成しやすいです。太陽電池性能はポリマーの分子量に大きく影響されますので、これも非常に重要なポイントです。

吉田先生 : そうですね。まず反応条件のスクリーニングですね。
私の研究では、新反応開発においては、どの溶媒が良いか、どの金属が良いか、どの配位子が良いとか…、いろいろなファクターをできるだけ数多く試行して、迅速にこの反応にはこの条件が一番良い、ということを見つけることが重要です。
また反応剤開発においても、新しい反応剤をどれだけ効率的に短時間で作るかというのが、他の人に使用していただけるポイントなので、そういう条件を見つける上でマイクロウェーブの反応装置(=Initiator)は非常に役立っていますね。

尾坂先生もおっしゃっていましたが、通常の加熱条件だと半日以上ずっと回さなければならないものが、30分や1時間で結果を見ることができるようになりました。
いろんな条件で、短時間で数多く試行することができるのは、反応開発・反応剤開発をする上でも非常に役立っています。

導入して良かった。最もコストパフォーマンスが良い装置(尾坂先生)

― お役に立っているようで大変光栄です。では、Initiator+8の利点として、特に挙げるとすればどういうところでしょうか?

尾坂先生 : 私の場合は、ほぼ9割9分は利点と言えるぐらい役立っていますね。研究費で購入した装置の中でもInitiatorは最もコストパフォーマンスが良いと感じます。一番買って良かった装置だと思いますね。

反応時間の大幅短縮&使いやすさで、スクリーニング件数がアップ(吉田先生)

広島大学大学院工学研究科応用化学専攻 反応設計化学研究室

吉田先生 : 先ほどの話と重複しますが、反応時間の短縮化によって、いろいろなスクリーニングの、単位時間あたりの件数が増えたというのは、私たち反応開発の研究者にとっては大変大きなメリットです。
通常の加熱反応で加圧反応をするのも、そのための容器が揃っていればできないことはないのですが、やはり手軽さの点でInitiatorはとても使いやすいので、使用する溶媒とボイリングポイント(=沸点)との関連などをあまり気にしなくて良くなりましたね。
ある一定の圧力ならInitiatorでは問題ないので気にせず、比較的過酷な条件でも、いろいろ試すことができます。一気に敷居が下がったという感じですね。
学生たちにとってもバイアルを使うのは当たり前になりました。Initiatorがあるのと無いのとでは研究環境が全く変わるように思います。

― なるほど。では、Robot(オートサンプラー)のメリットについてはいかがでしょうか?こちらの上位機種でRobot-60というのもございます。

尾坂先生 : 私自身は、今のところ8本で足りています。60まで条件を振ることはないと思いますね。
せめて16とか24とかがあれば良いかもしれませんが、60はちょっと~。まず仕込むのも大変ですよ(笑)。

複数容器をセットしてRobotに全部におまかせ。時間の有効活用が可能(吉田先生)

吉田先生 : 私も60までは…必要ないです(笑)。
やはりロボットのメリットは多検体を一気にスクリーニングできることですね。複数の条件で仕込んだ反応容器を一気にセットしておけば、あとは機械が自動で全部やってくれる、というのは非常に便利ですよ。
どうしても自分の手でやる作業もあるので、機械でやってもらっている間、私は別の作業ができる…時間の有効活用にもつながっていますからね。

― ありがとうございます。Initiator8、Initiator+8をお使いになって、何かご要望などはございませんか?

尾坂先生 : 導入して以来、反応条件のスクリーニングは飛躍的に短縮できましたから、Initiatorは私たちの研究にもう無くてはならない装置となっています。
今の装置で特に問題はありませんが、あえて言うなら…、やはりもう少し大きなスケールでできるといいな、ということでしょうか。ポリマーを作る時は最終的に100~200mg出来れば良いのですが、その前段階で中間体などを合成する場合はもっと大量に作ります。それがInitiatorでなければ作れないモノとなると、少量ずつ何本も仕込まないといけないので、ちょっと手間がかかりますね。
ですので、私の研究では、一度にグラムスケールで合成できるといいな、と思いますね。
それと、複数本やるにしても、連続ではなくて一気にまとめて照射するという方法ができればいいなと思います。

モニターカメラを付けることができれば…

― なるほど。吉田先生はInitiator+8で何かご要望はございませんか?

吉田先生 : 私の研究ではスケールはそんなに要らないですよ、0.5mmol位で十分対応します(笑)。
要望としては…、できればカメラが付いたらいいなぁ、と思います。今回の購入に際して検討した時も、他社のモニターカメラ付き製品と検体数などを比較しました。しかし導入の決め手は結局、価格でしたが。

広島大学大学院工学研究科応用化学専攻 反応設計化学研究室

― モニターで、反応中を観察されたいですか?

吉田先生 : ええ。反応中の溶液の形状や色の変化などをチェックしたいのです。私たちの実験結果では、たとえば突然再現性が出なくなるような事が少なくありません。
そのような時、間近で様子を見ておけば、原因を推測するひとつの要素になると思うんです。同じ時間、加熱をしているのに色の変化が違うとか、それは何に起因するのかなど。それをつかむために、モニターがあれば常に見ることができるので便利だと思うのですが。

尾坂先生 : 私もカメラで中が見たいですね。つまりブラックボックスなので、入れたら、次は出来上がるまで見られない、途中経過が見えないんです。
私の研究の場合は、実は、撹拌がちゃんとできているのか気になっているのです。
ポリマー合成していると重合反応が進むにつれて、溶液の粘度が高くなるので、「本当に最後までスターラーは回っていたのかな?」と思う時がありますよ。
実際合成した後、放冷して出てくる時には、もうガチガチに固まっているんです。溶媒の中に固まったのが沈んでいる感じで、固まった中にスターラーチップが完全に取り囲まれています。
いつからその状態になったのか…、温度が冷えてそうなったのか、反応中にそうなったのかがわからないんです。結局、中を見なければわかりませんね。

― 反応中の様子を見るカメラは研究の上でも有用なのですね。他のお客様からもご要望をいただきます。

尾坂先生 : やはりそのような要望があるということですね?
あと、今後は、コストダウンを…(笑)。でもあまりコストダウンしすぎると品質にも影響しますのでね。

吉田先生 : これからも使いやすくて高品質の装置を、購入しやすい価格でお願いします(笑)。

― 多くの貴重なご意見ありがとうございました。今後の製品開発の参考にさせていただきたいと存じます。本日はお忙しいところ長時間ありがとうございました。

インタビュー実施:2017年12月6日PDFファイルダウンロード(1.8MB)

導入製品 全自動マイクロウェーブ ペプチド合成装置 Initiator+Eight  URL: http://www.biotage.co.jp/inititor8_top

導入機関 国立大学法人 広島大学URL: https://www.hiroshima-u.ac.jp/

広島大学は、1949(昭和24)年に開学しました。「自由で平和な一つの大学」という建学精神の下で、現在は12学部11研究科を持ち、世界トップレベルを目指す研究力の強化と国際化に取り組んでいます。
工学研究科応用化学講座は1920(大正9)年創設の旧広島高等工業学校にさかのぼり、2010年から現在の体制となりました。
反応設計化学研究室では、誰も考えたことのない機能性有機材料、特に共役系ポリマーの開発や、それを実現する斬新かつ効率的な有機合成反応の開拓に取り組んでいます。これにより次世代の有機エレクトロニクスデバイスの高機能化など化学・科学の発展に貢献したいと考えています。

尾坂・吉田・米山研究室 URL: http://home.hiroshima-u.ac.jp/~rdc/