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HOME > ユーザーレポート > 高知大学理工学部附属水熱化学実験所ユーザーインタビュー

Biotage User Report

ユーザーレポート「高知大学理工学部附属水熱化学実験所」

有機物の水熱反応実験にも有効活用。
マイクロウェーブで操作・作業の効率アップ

~固体触媒の水熱合成から触媒水熱反応まで幅広い水熱化学研究にInitiator+8を活用~

高知大学理工学部附属水熱化学実験所
株式会社住化分析センター

高知大学理工学部の「水熱化学実験所」は、水熱に特化した実験設備を備える全国的にも珍しい施設です。水熱反応と固体触媒反応を組み合わせた触媒水熱反応に関する研究や、バイオマスに由来する化合物の化学変換など、水熱をターゲットとした専門研究の中でバイオタージのマイクロウェーブ合成装置Initiator+8をご活用いただいております。今回は水熱化学実験所の恩田歩武講師にお話をうかがいました。

― 最初に、先生のご研究内容とこちらの研究所の概要を教えてください。

恩田先生 : まず「水熱」というのがキーワードとなります。水熱とは100℃以上で圧力のかかった高温高圧の水のことです。天然では、深海の熱があるところ、たとえば海底火山が噴火した近辺は水熱状態になっています。海底火山の非常に熱い部分では水は気体状態になりますが、少々下がって250℃あたりでは高温高圧の液体となっていて、これが水熱の状態です。この場所は熱水鉱床とも呼ばれ、いろいろな鉱物や宝石類の生産や生命の誕生が起こった場所と考えられており、「水熱」は有機反応から無機反応までさまざまな化学反応が起こりやすい状態です。
水熱化学実験所では簡単にいえばそのような環境を実験室に再現して、水熱化学の研究をしています。

水熱の特徴〈高温・高圧、高溶解度〉を利用した研究テーマ

― 実験所のみなさんはそれぞれ違うテーマで研究をされているのですか?

株式会社住化分析センター

恩田先生 : はい、そうです。触媒だけでなく、電子材料、構造材料、生体材料などのセラミックスを合成する無機材料合成や、有機反応の研究テーマがあります。実際行われてきた研究例としては、たとえば鉱物的な無機材料合成のテーマとして『水晶の単結晶の育成』というものがあります。

単結晶というのは大きな結晶のことで、私たちは水熱の中で圧力と水とを掛けながら作るという方法を利用しました。

まずとても小さなナノサイズの結晶をつくり、溶解と析出を繰り返しながらナノサイズからマイクロサイズ、そしてミリサイズへと成長します。例えば時計の中の「水晶振動子」などには水晶の単結晶が使用されています。まず、成長する際に、結晶がきれいでなければいけません。そのため石鹸を常に溶解と析出を繰り返しながら大きくて綺麗な石鹸をつくるように、単結晶を成長させていきます。

水熱法の特徴は「溶ける」現象が起こることです。大きなきれいな宝石の育成などにもこのような水熱の特徴が利用されてきたわけです。固体同士よりも液体同士のほうが反応しやすい状態なので、本来なら溶けにくいものでも、この水熱条件を利用して、しかも高温条件なのでさらに溶解度が高くなり、いろいろな反応が起こりやすいのです。溶解度が高くなるのに大きな結晶ができるというのはそういう状態によるものなんです。

株式会社住化分析センター

もう一方の水熱化学のテーマは有機反応ですが、これは主に分解や廃棄物処理の環境的な研究が先行しています。有機物分解の研究例としては、ダイオキシンやフロン、PCBなどがありますが、これらの物質は分解されにくく焼却しても残存してしまうわけです。それを分解して壊すために水熱反応を利用しています。

本実験所では、材料を合成して触媒を作ることと、有機廃棄物を分解する研究、この2つがベーシックな研究となります。どちらにも水熱を利用することで、他の方法では作れないものを作る・有機物質を二酸化炭素と水に完全分解する途中段階の有用な化合物を選択的に合成するということをやっています。

また、海藻を使った研究もしています。そういうものから糖や化学原料や、添加物的なものをターゲットに落とし込んで、その官能基の変換を触媒と水熱反応とでやっています。その場合、触媒も水熱技術で合成したものを使うことが多いです。

水熱独自のものを作る、形のちがう物が出来る

― 先生が取り組まれている触媒というのは、高温高熱のところだからこそできるものなのですか?

恩田先生 : 2種類ありますね。たとえば有名なものではゼオライトという物質は触媒として広く使われていますが、水熱以外では出来にくいものです。

もうひとつはアパタイトです。これは水熱でなくても出来るのですが、水熱を利用すると、単結晶が大きくできたり、形状が違うものが出来あがったりします。形が違うと触媒としての性質もいろんな機能も変わり多様性が増します。カルサイトや水晶などの物質も同様です。

水熱の利点としては、常温常圧では水に溶けない物質も容易に溶解するため、通常は得られないような物質の合成、成長が可能である。そういう意味で、水熱を上手く利用しています。

水熱実験に使う容器で典型的な研究装置・容器は、外側が金属製で内面がテフロンになっているものですね。腐食しにくいテフロンを内側に使っているは、内面も金属だとどうしても酸性塩基により腐食しやすく、また、容器の金属が溶出して混在する可能性が気になるためです。

株式会社住化分析センター

ただしテフロンの耐熱性は、220℃ぐらいが限界なことと、1部の有機溶媒に対してテフロンが弱い場合もあります。

― よくある水熱実験用のオートクレーブと形が違いますが、より圧力をかけるためでしょうか?

恩田先生 : これは実験データをたくさん得るためです。
特注装置ですが、旋盤の技術を持った人なら安価に作れます。
この実験所では、学生がこの小型オートクレーブを1人6個ぐらい使って、それぞれ実験しています。

有機物の水熱実験には耐圧ガラスバイアルが大活躍

株式会社住化分析センター

― なるほど、水熱研究の基本概念がよくわかりました。このようなご研究の中で、マイクロウェーブを使おうと思ったきっかけは何だったのですか?

恩田先生 : まず、有機物の水熱反応実験で「ガラスを反応容器に使いたい」と思いました。それまでは、金属容器の中にガラスの容器を入れて使っていたのです。

もともとこの実験所では、比較的高い反応温度で無機物を合成する研究が多かったので、主に金属製オートクレーブを使っていました。無機物を水熱合成する時に、アルカリ性水溶液を用いることが多いので、ガラスはあまり強くないんです。

しかし、有機物の実験では酢酸などが出るので必ず酸性寄りになり、金属が腐食・溶出しやすい可能性があります。また、テフロンですが、これは実は多孔質で分子が中に入ってしまうので、水溶媒中の有機化学を行う反応容器としては不向きですね。
有機化合物の水熱反応を行う場合、主流は金属製オートクレーブですが、私は、どうしても微量の金属の影響が気になっていました。

もう1つ、反応時間の問題があります。ちょうど良い反応時間にしたいのですが、金属容器だと、温度が80℃以下になるまで開けられないので…。金属なのですぐに温度は上がりますが、なかなか下がりません。すると、ちょうどいい反応時間だったのに、開けられない間にまた別の反応が起こってしまうわけです。
容器についてはいろいろな工夫もしましたが、たとえば水に浸けて冷ましてみたり。数回やると容器が錆びてしまいました。
温度の上がり下がりの点で、マイクロ波加熱は魅力的だと思いましたね。

この製品については、椿俊太郎先生(現・東京工業大学)に教えていただきました。椿先生はもともと学生時代からバイオマス研究でマイクロウェーブを使っておられました。

デモしてわかった、予想以上のラクラク操作感

株式会社住化分析センター

― ガラスバイアルを用いたマイクロウェーブ合成実験が条件にマッチしているというお考えはお持ちでしたか?

恩田先生 : 実は、水熱の研究でガラス容器を使うことはあまり一般 的ではなくて、考えていませんでした。結局、危険性ですね。科学実験の基本で「ガラスに圧力をかけてはいけない」という考えがありまして、結構考えました。ですから外側は金属という気持ちがあったのです。
「耐圧ガラス」というのも実物を見て使うまでは全然…(笑)。
調理用で耐圧釜がありますが、Initiatorの耐圧ガラスというのもせいぜい1.2気圧程度までだろうと思っていました(笑)。30barまでOKというのはびっくりし、可能性を感じました(笑)

株式会社住化分析センター

もう一つ挙げるとすれば、従来のオートクレーブが結構面倒だったのです。時 間もかかるし温度が上がるのも遅いし。Initiatorのデモ機を使ってみて、「コレはちょっと違うな!」って(笑)。操作の楽さ加減が全然違いましたね。
大学院生ならどちらでも良いでしょうが、たとえば私とか、非常勤の方とか限られた時間の中で実験するときは、準備をして反応して分析かけて終わってろ過をして2時間ぐらいかかりますからね。最初はガラスという材質の点を説明しましたが、時間の面でも相当短縮できましたね。これはデモしてみてわかった感じです。

オートサンプラー使用で時間を有効活用

― Robot部分(オートサンプラー)を付けられたのはどのような理由からでしょうか?

恩田先生 : それは私自身の希望です。たとえば午前中に授業があるとき、朝仕掛けておけばお昼に終わっていますから、すぐに後処理ができます。やっぱり便利ですよね。あと、わりと反応時間の長いものがあるので、帰る前に仕掛けて翌日の朝に…とかね。

それから、当然マイクロ波のメリットは、温度を振ることが可能だということです。たとえば大きなオーブンの中に入れて、120度、130度、140度と設定しておくとそれなりの時間かけてくれますから。
実験をする操作と時間の効率化すなわち時間短縮という意味で非常に便利な装置です。Initiatorを導入してから、実験がたくさんできるようになったという感じがします。

― ありがとうございます。よかったです(笑)。

株式会社住化分析センター

恩田先生 : 今までも傾向はあったのですが、たとえば学会発表用にまとめて実験するためにはだいたいの条件を同じにして時間と温度を変えます。本当のところ、実は再現性が難しくて、夏と冬では違うということがあるのです。同じシーズンに一度にやってしまわないといけない実験のときにも便利なわけです。
先ほどのセルロースの実験でも便利です。
この研究のためには、マイクロ波みたいにパッと昇温パッと常温というのが非常に有利なところです。プラスたくさん作るということです。そういうメリットがありますね。

― 非常に光栄です。ありがとうございます。
本日は長時間ありがとうございました。

インタビュー実施:2016年12月20日PDFファイルダウンロード(1.87MB)


導入製品 マイクロウェーブ合成装置
Initiator+ Eight
url: http://www.biotage.co.jp/initiator8_top

高知大学理工学部附属水熱化学実験所

オートサンプラー付き、最大8検体までの連続合成ができるマイクロウェーブ合成装置です。400Wのシングルモード照射で、パワフルかつ精密に温度を制御します。操作はタッチパネルスクリーンを採用し、PCなどの余計なスペースを必要としません。操作性・安定性に優れたマイクロウェーブ合成装置として多くの研究機関で活躍しています。

導入機関 国立大学法人 高知大学 url: http://www.kochi-u.ac.jp/facilities/suinetsu.html

高知大学理工学部附属水熱化学実験所

現在の高知大学は、(旧)高知大学と(旧)高知医科大学が平成15年に統合して新たに開学しました。平成28年現在、3つのキャンパスに合計6学部と大学院(修士・博士課程)を持ちます。
理学部付属水熱化学実験所は昭和48年に設置されました。
教職員数:2654人
学生数:4947人(学部)、522人(大学院)
平成28年5月現在