テクニカルノート

MP-TMT

 

(金属触媒の除去)


【ケミカルデータ】

化学名 Macroporous polystylene-2,4,6-trimercaptotriazine
用途 水溶液または有機溶媒からの残留パラジウム除去
タイプ 高度に架橋した多孔質ポリスチレンジビニルベンゼン共重合体
キャパシティ >0.5 mmol/g
サイズ 150-355 microns、45-100 mesh
使用溶媒 THF(4.3 mL/g)、DCM(3.8 mL/g)、Toluene(<4.9 mL/g)、ACN(<4.6 mL/g)、MeOH(4.3 mL/g), Water(3.7 mL/g)

 

 

Argoresin MP-TMTは、マクロ多孔質ポリスチレン担持Trimercaptotriazineで、2,4,6- trimercaptotriazine (TMT)のレジン担持等価体です。本レジンは、パラジウム触媒を必要する反応において、生成物から残留するパラジウムを除去する目的として設計されました1) パラジウムを介した反応が広範囲に使用されているにも関わらず、反応後処理や目的物の単離をする際の残留パラジウムの除去は依然重要な問題です。活性医薬品成分で必要とされるように、パラジウムの量を百万分の一(ppm)レベルに減らすことは特に大きな課題です2)

低分子の2,4,6-trimercaptotriazineは、溶液中のパラジウムその他の重金属と結合して沈澱させるために効果的に使用されています3) 残念ながら、極性有機溶媒中のTMTパラジウム錯体の溶解性により、このアプローチの効果と一般性は制約されます。溶解度の問題に対処するため、TMTを不溶性のゲル状タイプポリスチレン担持体に共有結合で付加することにより、ポリマー担持型のTMTを調製しました4)。 このレジンはTHF溶液中のパラジウム(II)酢酸濃度を1000倍効果的に下げることが実証され5)、かつ、水溶液または非水溶液の双方に存在するパラジウム濃度を非常に効果的に下げることが見いだされています。

Argoresin MPベースのコポリマーは、より頑強で膨潤性の低い物質を生成するためにデザインされているので、容積が制限されている環境(例:マイクロウェーブバイアルおよび96ウェルプレートなど)で理想的です。独自の孔構造によって反応サイトへの接触が高まり、その結果、反応がスピードアップでき、回収率が高まります。耐摩滅性のマトリックスは取扱適性がよく、移行時のロスが少なくなります。Argoresin MP-TMTで処理した後、目的物は、続いて留去される溶液で濾過するだけで単離されます。
Argoresin MP-TMTレジンのTMTロードは>0.5 mmol/gです。パラジウム除去の一般的条件では、パラジウム含有量に対してレジン5当量を使い、16~24 時間かかります(表.1)。THF、ジクロロエタン(DCE)、トルエン、アセトニトリル(ACN)で除去が実証されています。

 

 

MP-TMT* (equiv) at 20 ℃ for 25 h Pd scavenged (%)
10 96
5 98
2 96
1.1 79

表.1 THF溶液中のPdCl2(PPh3)2 除去効率(初期Pd濃度は0.045M)

 

 

【一般的な実験手順】

●PdCl2(PPh3)2 を用いた鈴木カップリング反応からのパラジウム除去

 

MP-TMT_実験例

 

トルエン(110 mL)に添加した1-bromo-4-hydroxymethylbenzene (1.26 g, 6.7 mmol)、3-methoxyphenyl boronic acid (1.11 g, 7.3 mmol)、PdCl2(PPh3)2 (0.5 g, 0.71 mmol)とNa2CO3水溶液(6.7 mL, 0.5 M)の混合物を不活性雰囲気下で80℃で24 時間攪拌しました。その混合物を室温まで冷却し、ブラインで洗浄(2 x 50 ml)しました。有機溶液はMgSO4で乾燥させ、珪藻土の小プラグで濾過して黄色~オレンジ色の溶液を得ました。この溶液の一部は濃縮され、ICP分析によって測定して、パラジウムを重量パーセントで3.34%含有することがわかりました6) 必要な場合には、過剰ボロン酸はPS-DEAMを使用して除去します7) 上記の濾液(15 ml)の一部は20μmフリット、ストップコック、キャップのついた空のカートリッジ本体に移しました8) それをMP-TMT(0.6 g、0.48 mmol、出発Pdに対して5当量)で処理し、オービタルミキサーで18時間室温にて攪拌しました。溶液を濾過してレジンを除去し、レジンはトルエンで洗浄(2x、10 ml)しました。合わせた濾液をエバポレーションし、淡黄色のオイルを得ました。生成物中の残存パラジウム濃度は<190ppmと測定されました7)

 

【参考文献】

  1. See, for example: Rylander, P. N. Hydrogenation methods; Academic Press: New York, 1985; Hegedus, L. S. In Comprehensive Organic Synthesis, Trost. B. M.; Fleming, I. Eds; Pergamon,New York, 1991,Vol 4, p. 551; Handbook of Reagents for Organic Synthesis:Reagents, Auxiliaries and Catalysts for C-C Bond Formation, Coates, R. M.; Denmark, S. E. Eds;Wiley: New York, 1999.
  2. Chen, C; Dagneau, P.;Grabowski, E. J. J.;Oballa, R.;O’Shea, P.; Prasit, P.;Robichaud, J.; Tillyer, R.;Wang,X. J. Org. Chem. 2003, 68, 2633.
  3. Rosso,V. W.; Lust,D. A.; Bernot, P. J.;Grosso, J. A.; Modi, S. P.; Rusowicz,A.; Sedergran, T. C.; Simpson, J. H.; Srivastava, S. K.;Humora,M.J.;Anderson, N. G. Org. Process Res & Dev. 1997, 1, 311.
  4. Ishihara, K.; Nakayama, M.; Kurihara, H.; Itoh, A.; Haraguchi, H. Chem Lett. 2000, 1218.
  5. Palladium(II) acetate concentration was reduced from 47 ppm to 45 ppb upon a single treatment.
  6. Quantitative inductively coupled plasma (ICP) analysis was conducted by Galbraith Laboratories, Knoxville, TN.
  7. Please refer to Technical Note: PS-DEAM.
  8. Parts needed include: ISOLUTER empty reservoirs (Part Number 120-113-C), universal stopcocks (Part Number 121-0009), and column caps(Part Number 1201-0123-C). 


【製品番号】

801506 Argoresin MP-TMT 3 g
801469 Argoresin MP-TMT 10 g
801470 Argoresin MP-TMT 25 g
801471 Argoresin MP-TMT 100 g
801472 Argoresin MP-TMT 1000 g